放課後の渡り廊下

教育に関してあれこれ迷い悩みながら書いています。

学習記録研究

書くことをルーティン化できるか

書きました 「個別最適な学びと協働的な学び」を考える 授業づくりネットワークNo.45 学事出版 Amazon 正直,テーマと正対して書けたとは言えないのですし,もっと汎用的な実践にブラッシュアップする必要があるなあと痛感しましたが,学習記録実践の一部分…

異動して知る学習記録のこと。

教育大学附属学校へ異動しました。3月25日付の北海道新聞に,中学校教職員「退職者」名簿に自分の名前があったため,各方面にご心配をおかけしてしまったのですが,割愛退職といって,形式上の退職となります。引き続き教職員であることに変わりありません。…

学習活動を積み重ねること

「カリキュラムマネジメント」という言葉がありますが,私が一番大切にしたいと思うことは, ・学習履歴を有効に積み重ねているか, ・生徒自身が成長を実感できているか,です。 今でもまだ,1単位時間の授業を構想することで精一杯の時がありますが,学習…

須田実編(2005)「読む力・考える力を育てるノート指導」

引き続き,国語科ノート指導に関する書籍を読み続けている。 ここにきて,2000年代のノート指導本に入ってきた。 読む力・考える力を育てるノート指導 小学1・2年 作者:須田 実 メディア: 単行本 この一連の調査の目的は,ノート指導の歴史的文脈を探すこと…

岩浅農也・横須賀薫編(1984)『ノート指導と板書』

学習記録のあり方は,授業者の問題意識や信念によって決まる 引き続き,これまでの国語科ノート指導の歴史を追うために,次の本を読んでいる。 子どもが見える授業技術入門 (4) メディア: 単行本 この本は「ノート指導と板書」をテーマとして,「子どもが見…

学習のあり方そのものが問われている。

学習記録研究の中で,国語科のノート指導に関する読書を続けている。 現在読んでいるのは,白井勇著『思考力を伸ばす国語科ノート指導』。 思考力を伸ばす国語科ノート指導 (1970年) 作者:白井 勇 メディア: - 「愛着の持てるノート」というのがキーワード…

【メモ】石田佐久馬(1964)「発問・板書・ノート」

新型コロナの第3波の対応に追われ,先週から二者懇談,来週は三者懇談と続き,学校現場は常に疑問と不安と決断に迫られている。 1・2年生は希望制で今回は見合わせるという家庭も多いだろうが,3年生は受験を控え気が気じゃない。コロナの心配もありつつ,進…

長田和雄(1955)『国語ノートの指導』

週末,ノート指導の歴史を知りたくて,1950年代のノート指導の本を探して読んだ。 ノート指導本としての特徴は何か? 今回手にした長田和雄(ながたかずお)の『国語ノートの指導』は,興味深いことに,大村はま同様,「とじ込み式ノート」の実践について書…

”先行研究”という名の長い道のりを歩け

研究論文を書く経験をすると、先行研究がいかに大切かを思い知らされる。 実践報告はそれぞれの実践が個人の文脈によって開発されたことを知らせることに意味がある。 どのような問題意識があって、どのような環境で、どんな選択をするのか。 しかし、同様の…

「学習記録」には学習者の創造性が込められている 

国語教育雑誌を見ていると、学習者が書き記すものとして「ノート」という用語が多くの教員に定着していることがわかる。『国語教育』最新号の目次にも「「書く」を習慣づける ノート指導術」といったタイトルが見られる。 教育科学 国語教育 2020年 09月号 (…

実践史の中での位置づけ

学校の先生たちが実践としてまとめるものは、なぜその方法を選択するかということと、実際にどうするかという方法の説明が多い。先行研究を整理している論考というのは少ないのだなと思う。 大抵のことは、先人がその重要性を述べているのであり、ある程度の…

授業で何を記録すべきか

生徒の授業アンケートの記述に、よく「板書をもう少ししっかり書いてほしい」という意見をもらう。学習者にとっては記録として授業が残っていないと不安だ。学校はテストもあって、学習したことに○とか✖️とかを付けられるのも事実である。だから、自分として…

どこの図書館も利用できない。

報道の通り,この1か月は感染症拡大を避けるために,公共施設は休館となった。 www.hokkaido-np.co.jp 北海道の緊急事態宣言解除後,徐々に機能を取り戻しつつあって,今週から本の返却やインターネットで予約した本を取りに行くことができるようになった。…

学年末に学習記録を読んで気づくこと

学年末の学習記録を集中して読んでいる時期なので,読んでいる間に気づいたことを記録しておく。 1 教師にとって気になる授業の記録に目が行きがち 自分にとって思い入れの強い授業とか,チャレンジングな授業は生徒の反応が気になる。ねらいが達成されたの…

「自分で研究する」授業を考えながら思うこと

とにかく,自分で研究する,自分の題目で研究する,ということは,なんという張り合いのあることでしょう。むずかしいことが起こって,困って,苦労して……,そういうこともたびたびです。でも,先生に,友だちに相談し,ああすれば,こうすればと,くふうし…

学習記録から授業を作る

学習者の記録には、良いところも課題もあって、どちらも次の授業や次の単元でどうフィードバックできるかを考えさせる。 基本的に文章で記録を書き続けるので、書く力の課題にも向き合う機会になる。 時間はかかるけれど、毎時間の記録を学習者ごとに読むこ…

学会発表が終わる。

当日の朝,リハーサルしてみたらやっぱり自分でもこれじゃあ伝わらないなって思うことがたくさんあった。わからないものがなんなのかもよくわからなかった。口述試験でも言われた通り,私の書いたものは自己理解に留まっていて、研究としての問いのレベルア…

授業記録と学習記録は違う。

授業の終わりに書く記録は、その日の授業がどのようなものだったのか記録されることが多いので、授業記録の意味合いが強い。 私は、学習記録を書かせている時、「授業記録」と「学習記録」の違いがよくわからなかった。毎時間の授業の記録は、そのまま学習記…

情報探索の知識

中間発表会で先行研究の整理が課題だとわかってから、ずっと資料探索をしている。収集しては、読んで(書きながら読まないと理解が進まないので、ひたすらアナログでメモ)、そしてまとめる(まとめはデジタル、ワードで文章化)。あとは、話すようにしてア…

思考を促すことばの提示

充実した学習記録の記述はどのように生まれるのか。 そのヒントとして、学習の手引きを読む。 大村はま国語教室 第3巻 古典に親しませる学習指導 作者: 大村はま 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 1983/01/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る…

「そもそも…」に立ち戻る。

修士論文中間発表会が終了。 発表内容としては、これまでの記述分析の結果と考察、章立ての報告だった。自分でも課題だと感じていた研究としての位置づけが十分に言語化できておらず、今一度「学習記録」の意義を問い直すことが必要だとわかった。学習方法と…

次のことを考え続ける

昨日と今日はほぼ2日間まるまる資料作成で過ごす。4月から始まった記述分析の視点は、5つの単元の授業分析の視点を得ることとなった。どの授業も反省しないことはないわけで、ジャッジを下ろさずに認識を記述していくことが最も困難なことだった。極端にネ…

小手先だけの分析になっていないか?

これまで試論として取り組んできた記述分析を、一つの枠組みに沿って可視化する作業を行っている。記述を数値化して表やグラフにすると、今まで見えなかった事実が浮き上がってくる。 しかし、このデータは仮想世界のもの。私たちは授業分析をしようとしたと…

ざっくりと1年間の学習記録を読んでみた。

引き続き、これまでの調査結果をまとめた中間発表の資料を作成した。 と同時に、新たな調査も進めていく。先週末にデータ化した抽出生徒の1年間の記録である(計画では3年間分見る予定が、資料が見つからなかったりして後回しになりつつある…)。 これまで…

学習の収束とは、何をすることなのか?

来週に迫っている中間発表会に向けて、ひたすら収束の作業。今日はこれまでのブログの記述を関連付けする作業。いわば凝縮ポートフォリオ作成に近い。 ただ、研究としての論文は、自己満足で作品を集めるだけではないので、わかってもらえるように題材を選び…

書くことによって認識が深くなるってどういうことか

記録を書くことと考えることはどういう関係にあるのだろうか。授業の記録を書いている時に、学習者は何を考え、どのような気づきを得るのだろうか。書いている時の思考過程が気になって以下の本を手にする。 子どもの文章―書くこと考えること (シリーズ人間…

実践を整理するための観点と授業づくりで大切にしたいこと

今日は現実的な作業の1日。 10月3日の修士論文中間発表に向けて、これまでの調査のまとめを作り始める。今月上旬に一度作ったプロットとは違った見方が出て来ている。いろいろな疑問点をまとめていくと、学習記録をめぐって「①目的②内容③機能④形態⑤方法⑥評価…

どうして単発的な創造になってしまうのか。

単元ごとの記録を分析していたが、やはり年間を通した記述を追わなければ意味がないなぁという思いにかられて、3連休は決意して、抽出生徒の記述をデータ化する。 記録の記述だけではなく、授業内容、課題、メモ、ワークシートの内容など、情報は多くなる一…

書くことの授業と読むことの授業で記述内容はどう違うか。

作文の授業の学習記録分析つづき。 記述内容を整理すると、自己評価や次の時間への展望の記述が目立つ。読みの授業と異なるのは、ゴールイメージがはっきりしていることだ。 書くという作業は「書き終わる」イメージが生徒の中にもある。今回の授業では枚数…

問いのバリエーションを自分の中に持てるか

2015年度、生活体験作文を書いている時の学習記録。全7時間。 ホワイトボードを使ったペアでの題材を選ぶ活動からスタートし、個別・グループの選択をしての執筆活動という流れ。 記述内容の全体は読むこと(理解)の授業に比べてどう違う? 理解をメインと…