昨日の1冊はこれ。
千葉県の小学校での実践です。図書館資料を活用して調べ学習を行う実践です。
1989年~1991年(平成3年)までの実践が紹介されています。
総合的な学習の時間が本格実施される10年前です。
【参考】学習指導要領の変遷 - 文部科学省
「自己教育力」つまり「主体的学習態度」の育成については、これまでの教育史本を読んでいくと、いつの時代でもキーワードとして出てくるものです。
筆者も学習指導要領の改訂に合わせて次のように位置づけています。
今回(平成元年)の教育課程改定の基本観点は、『学習指導要領』の第1章・総則、第1・教育課程編成の一般方針、①の後半に示されている。
学校の教育活動を進めるにあたっては、自ら学ぶ意欲と社会の変化に 主体的に対応できる能力の育成を図るとともに、基礎的・基本的な内容の指導を徹底し、個性を生かす教育の充実に努めなければならない。
調べ学習は、上記のうち、「自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を図る」に対応した内容である。いわゆる「自学能力の育成」といわれている実践の1つである。
ここでは「自学能力」とも表現されています。
このあたりの用語の違いは整理する必要があるかと思いますが、ひとまず、ここでの「自学能力」は次のように説明されていきます。
①計画性
課題を自ら設定し、まとめまでの見通しを持って調べていく能力。ただし、脱線や変更はあってもよい。脱線とは、調べていく過程で、主題からそれた内容まで調べ進めてしまうことである。
②積極性
課題に対して学習方法を自分で見い出し、能動的に学んでいこうとする意欲である。
③持続集中力
自分の考えを計画に従って、断続的であっても学習に集中し、それを持続させていく力。
④丹念性
資料をじっくりていねいに読み、問題を細かいところまで追究し、深く考える力。
ここを読むと「自ら学ぶ力」の具体的要素をどのように定義するかがまだ自分の中では曖昧であることがわかるのですが、筆者は4点に整理しており、調べ学習を通しての学習者の変化もこの4つの観点から見取っています。
それと同時に、現時点で私の考える「自分が自分の先生になる」という発想のメインは、調べた後にあることに気づかされます。
さらなる課題を発見するために、自分の学びをメタ認知する力、とでも言いましょうか。「調べ―考え―書き―発表する」の先の「ふり返り」がメインなのですね。この「ふり返り」という言葉がこの本では出てこないのです。
そういう意味では、私の数少ない現場の実感としての感想だとわかっていて述べますが、「課題―活動―振り返り」の流れは教室に浸透しているなと思います。平成10~11年の学習指導要領改訂以降、「発表して終わり」に対する課題意識が芽生えて、そこで「何を学んだのか」学力観に関する問題意識が発生してくる流れが見えてきます。
「何をいまさら」と思う先生もいるかもしれませんが、私は昨年までの学級で総合的な学習の時間の学びについて、観点と評価でとても悩んだ経験があります。
この調べ学習実践を見ても、大村はま実践を見ても、共通して「観点」の重要性をとても感じます。同じように「ふり返り」についても「観点」がやはり重視されることになるのでしょうか。
今日はここまで。