放課後の渡り廊下

教育に関してあれこれ迷い悩みながら書いています。

森美術館「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」

体験型インスタレーションで構成されており、最近では珍しくなくなった撮影可、インスタシェア可の展示。見る行為をさまざまに映し出す。

 

《反射する港》

例えば水の上にゆれている舟。

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実際には水などなく、機械的に動いているだけである。しかし、見た人は、自分が一度見た風景と重ね合わせて「きっとあれと同じだな」と思い込んでしまう。

 

《建物》

鏡を使った展示も多く、鏡の中に写り込んで撮影する。

パンフレットの写真にも使われている《建物》では、壁面に寝転がって撮影をする。どこにどんな姿勢で寝転ぶか試行錯誤する。体験後に展示風景の写真を見て、「こんな風に足を広げるとおもしろいね」と振り返りたくなる。誰も目指す方向を示していないのに、体験者は自然と意外性の高い写真を撮ろうとする。「驚き=おもしろさ」の体験をする。

 

見て認識した情報との違和感に驚くことは、トリックアート展で感じる印象に近い。すぐにその違和感との調整をはかろうとする自分に気づいた時、認識にゆさぶりをかけるアート作品との出会いが日常になりつつあることを感じる。