放課後の渡り廊下

教育に関してあれこれ迷い悩みながら書いています。

書評コンテストとブックハンティング

読書指導の中で「書評」を書くっていう言語活動を考えるけれど,実際自分もやってみて実感するのは書評を書くのってむずかしいよなっていうことだ。

光村3年生の教材に竹田青嗣さんの「「批評」のことばをためる」というのがあるが,そもそも批評の語彙が日常生活にないかもしれないと思う。「これが好き」ってことは言えても,どんな点でどうだってことをなかなか伝えることが難しい。

そんなわけで,私の中で「書評」を学ぶことがここしばらくの学びたいことになっていて,その中で一つ目に入ったのが,明治大学図書館紀要『図書の譜』だ。

www.lib.meiji.ac.jp

2011-2013年度の紀要に書評コンテストの受賞者の文章が掲載されている。明治大学図書館に限らず,こうした大学附属図書館の大学生の読書活動を促進するための活動はどこの図書館でも見られる。これはそのうちの一つにすぎないけれど,学生の使っている語彙を具体的に知ることができるので興味深く読んだ。やっぱり書評を読んでいると「読んでみたいな」という気持ちがわいてくる。中学生が大学生の書評を読むとどのような反応を示すのか,また,中学生が読んでおもしろいと思う書評はどんなものなのか,新たな問いが浮かんできた。

 

さらに,2012年度の活動内容を見ると,「ブックハンティング」という活動があった。学生が直接書店へ出向き,学生自身が直接本を手に取って選書する活動である。確かに,ほしい本は書評や本の情報に触れて読んでみたいと思うことと,直接書店へ出向いて目で書棚を眺め,手に取って帯やまえがきを読んだりして選んでいる。選書の基本というか,「本を買いに行く」行為をまるごと活動にしてしまう点でおもしろいと思う。

ふと,自分の経験を振り返ると,図書委員を通して学校にリクエスト本を募集する活動との大きな違いを感じる。地域によっては書店や図書館が近くにないという物理的な問題もあるけれど,そもそも人の「読みたい」感情は一つの企画だけで賄えるものではないよなと思う。