「枕草子」第一段で「烏」が出てくる。
私は古典における風物がどのように取り扱われているのかがとても気になる。
万葉集においてはホトトギスやウグイス,雁が多く見られるわけだが,枕草子はどうしてここで「烏」なんだろうと思う。
また,秋の夕暮れ時に烏の飛び急ぐ姿を「あはれなり」と評しているわけだが,どうしてここだけ「あはれ」なのだろうと思う。
論文検索してみると,同様の問いに対する論文があって,枕草子内で「あはれ」が親子や家族に関する感情としての用例が見られること,漢籍の中での烏が孝行を示す鳥として扱われていること,漢籍に精通していた清少納言がその見方を取り入れたと考えることができる話があった。興味深く読んだ。
生活経験としても, 「烏」は日常生活によく登場する存在だ。「烏」に対する感情もさまざまで,日常をどのように見ているかがわかっておもしろい。
日常の切り取りという意味では,インスタなんだなとも思う。