放課後の渡り廊下

教育に関してあれこれ迷い悩みながら書いています。

学習記録研究

振り返りの記述を読む観点

今週は文献収集+まとめ作業の1週間だった。 振り返りの記述内容を分析し、その結果からどんなことが言えるか、その枠組みにはどのようなものがあるか、という問いで文献収集をした。 結果としては、国語科の研究よりも、日本語教育や英語教育、数学教育の分…

記録を他者と共有することで学びを深める。

引き続き、これまでの調査のまとめ。記述を並べてみると改めて見えてくることもあり、実際に作業することの重要さを実感する。 ここに来て感じる実践の課題は、記録を一人で読むことだけで終わらせるのはもったいないなぁということだ。学び得るものが学習者…

気づきを促す教師の働きかけ

今日はこれまでの調査結果を一旦まとめる。 学習記録の記述内容をカテゴリー化していって、やっぱり分け方に納得いかず、バージョン2でまた分類し直す。「事実」「感想」「理解」「学びの言語化」「評価」などと分けた。とは言っても、分けられないのも事実…

授業でのメモと記録と教師の関わり

学習記録には、当然のこととして教師の授業での発言・指示が反映される。素直な生徒であればあるほど、教師の言ったことがまとめとして引用されたり、記述内容が変わったりする。 いい意味で記録の気づきを促すと思うのは、活動中にメモを取らせる指示だ。 …

モニタリング。

学習記録の記述数が少ないものを集めて、そのカテゴリーを調べる。 興味深いことに、自己評価だけを書く子、授業の事実だけを書く子などなど、それぞれに特徴があって面白い。 記述数と学力は関係なく、学力の高い子はポイントだけをおさえて端的に書く。そ…

気づきを大切にすること。

学びにおいて、気づくことがいかに大切かを最近思う。 問題解決のプロセスにおいて、問題に気づくことがなければ始まらない。しかし、学校では、あらかじめ設定された問題に取り組むことが多く、問題に気づく経験をすることは少ない。もちろん、設定された問…

学習記録実践に学ぶ~伊木洋『中学校国語科学習指導の創造』

大村はま由来の学習記録実践として、伊木洋先生の『中学校国語科学習指導の創造』を読む。 中学校国語科学習指導の創造 作者: 伊木洋, 出版社/メーカー: 溪水社 発売日: 2018/03/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 本書には筆者である伊木先生…

分析する力はどのようにして形成されるのか

学習記録には、その日の授業でしたことや、学んだこと、感想が書かれる。 読んでいくと、誰が学習者に学びをもたらしたのかによって記述内容には違いが見える。 知識伝達型の授業では、教師が知識を整理して板書し、解説をする展開で授業が進む。こうした授…

プロセスに立つ

修士論文の中間発表会の日程が決まった。5月の構想発表会の時もそうだったけれど、「早く終わってほしいな」という気持ちになる。 締切の設定は集中力を高める効果があって、限りある時間をいかに使うかを意識させる。一方で、最終的に自分がなりたい姿を描…

自分の言葉から自分を知る瞬間

学習記録2年生の記述を入力し直す作業を終える。 2年分入力してみると、一人の書き癖が気になってくる。 あとは、自分の学習記録を読む目が変わっていることにも気づく。 記述内容をどう読んだらいいのかがわからなかった。 だから形式的なことにばかり目を…

「いろいろな見方があっておもしろかった」の先は…?

今年に入ってからずっとしていることは、毎時間の学習記録をエクセルの表に打ち込んで、記述量と記述内容を見て分析をするという作業です。 最近よくわかるようになったのは、 文章を打ち込む作業をしている中で学習者一人一人の様子が立ち現れるようになっ…

量的分析による可視化から質的分析へ。

7月最終日は、これまでの調査のまとめ。 データはただ眺めていてもダメで、数値化、コード化、クロス集計、さまざまに分析する中で焦点化されていく。 最初に気付かなかった違和感が急に浮上して思わぬ発見をもたらしたりする。 自分について多分に気づかさ…

個人思考の時間。

昨日読んだ生徒の学習記録あとがきに、 「みんながバラバラの作文を書いていた」 「自分とは思ってることが全く違うことが実感させられた」 と書かれていた。 個人思考から全体共有をした時に、どのくらいの学びが学習者にもたらされるのかが気になっている…

「おもしろい場面が全然わからない」から、授業を修正する。

中学3年生「故郷」の授業で、「作品の魅力を語ろう」という課題を設定した。 この課題の前提条件として必要なのは、「故郷」に魅力を感じられるかだ。授業前にも想定していたのだが、やはり学習記録には「おもしろい場面が全然わからない」という記述がある…

授業進行時には見えない生徒の記述。

教師は生徒の記述の何を読んでいるのだろうか。 今日、3年生「故郷」の単元ごとの学習記録の記述を読む。この単元では初読のあと、「故郷」の魅力があるとしたらどこにあるのか説明する学習に取り組んだ。生徒は「登場人物」や「ストーリー展開」「表現」「…

書かれない記述との対面。

学習記録を読み直していて思うのは、空欄の日の授業のことである。 何も書かれていないこのページの日、子どもたちは何をしていたのだろうか。 単元のうち、学習者の気づきが多くある時間とそうではない時間がある。単元の導入期はこれから何をするかを知る…

「役立つか立たぬかって、つきつめないで書いたほうがいい」

『大村はま国語教室』第十二巻「学習記録あとがき集によって学ぶ」には、さまざまに学習記録作成の意義を言葉を尽くして書きながらも、とにかくまめに書くことも伝えている。 その一つのエピソードに江戸時代の農民によって書かれた記録がある。 大村はま国…

条件設定をどこまで教師が設定するか。

今日は授業参観がメイン。 子どもたちの姿を直接目にすることが、自分をどれだけ思考の場に立たせてくれるのかを実感する。私は、教室で考える人なんだなと思う。 今日の授業では、創作活動において条件設定のあり方をどのように持つかということを考える。…

イラストで振り返る学習記録の第1印象

今までに書いたものを整理していたら、ノートの端に学習記録に出会った時のことが書かれていた。 初めて学習記録を手にした時 初めて学習記録を作ってみた時 初めて学習記録が完成した時 学習記録作成過程を思い浮かべると、この3つのシーンが思い出される。

ラベルのための語彙の検討

今日の授業は2コマ、言語学と文学理論。 研究は昨日に引き続きカテゴリー化の作業。5回目。 何度も検討を重ねながら、語彙の修正をする。 事実、意見、感想、分析……どの語彙でラベルをつけるのか迷いに迷う。 それぞれの記述がどのレベルのことを表してい…

意見交流が書くエネルギーを生む

今日は授業1コマと学習記録の記述分析。 授業は、コンテンツのお話。教科書の定番教材について考える1時間。 記述分析は、作成した表からカテゴリーを抽出し、ひたすら分類する作業。文学的文章の授業では、学習課題に対する自己評価よりも、作品に由来す…

記録と評価の関係は?

自分のルールとして、記録を書く際に字数の指定を設けていない。そのため、1行で終わってしまう日もあれば、空白の日もたくさんある。 そのような習慣の欠点は、あとで見返した時に「この日は何をして何を考えていたのだろう」と思う日が多々あることだ。意…

<わたし>の学び方

一人一人の学び方は多様であるという視点に立てば、学習記録が寄与するのはそのプロセスの違いを可視化する点にある。 今日は3年生「故郷」全時間の学習記録の記述、作文を抽出する調査を行う。分析の観点に基づいて、「故郷」の魅力は何か説明する授業であ…

振り返り記述の発達段階と学習経験への問い

小学校のノート指導実践を見ていると、視写する力を育てる実践提案が見られる。黒板を見て正しくできるだけすばやく書く動作は授業記録の基礎として位置づけられる。 ノート指導の要素として他に、発想を広げること、定着のために練習すること、自分の考えを…

一覧資料にすることで相対化を促す

大村単元学習の中では、作文やレポートを文集化することがある。 国語教師が評価をする際に、30人程度の記述を読んでいる途中で評価基準が変化していく(最初の基準を忘れてしまう)ことがあると思うが、その変化を防ぐために、似たような作品を分類したり、…

学習記録実践を通して見える自分のこだわり

1 どういう授業なら生徒が楽しく学べるのか知りたかった(「楽しさ」が継続の必要条件だと考えているので「楽しさ」が重要)。「眠かった」「難しかった」としたら、その原因はどこにあったのか考えるきっかけがほしかった。 2 国語科としてことばの学び手…

「書くことによって学習を開いていくのである」

大村はま国語教室 第12巻 国語学習記録の指導 作者: 大村はま 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 1984/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 単なるメモ帳でもない、忘れてはいけないことを記しておく、いわゆるノートでもない、学習をとらえて…

先行研究のお勉強

大村はま「学習記録」生成時期の教育をめぐって、文献にあたる。授業づくりと学習者の関係をどのように見ているか、記録をどのように価値づけているか、読む。 解説 国語単元学習 作者: 倉沢栄吉 出版社/メーカー: 東洋館出版社 発売日: 1993/04/01 メディア…

内なるものを知ろうとすること

大村はま国語教室 第12巻 国語学習記録の指導 作者: 大村はま 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 1984/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「さまざまな質問に答える」 P76問 学習記録の一ばんのねらいは何ですか。答 書くことの基本的な力を…

自分自身の実践への評価

学習記録のラベリングをする。 すべてのラベルを貼り終わって「ああ、こんな授業もしていたんだな」と、やはり思い出す。子どもたちもこんな感じなんだろうか。人は忘れていく生き物だ。記録がなければ、なくなってしまう。書き残すこと。それは、未来の自分…