放課後の渡り廊下

教育に関してあれこれ迷い悩みながら書いています。

読書記録

春休みに読んだ本。

メディアミックスについて考える 春休みに読んだ本を振り返る。 あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。 あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 (スターツ出版文庫) 作者:汐見夏衛 スターツ出版 Amazon 1年間で数回、女子生徒を中心に、この本がおすすめ…

やれない理由を探すのではなく、どうしたいのかを自分に問う。

覚悟 教育書籍の出版物の多くが、3-4月に集中する。3月は、多くの先生方にとって次の現場への意欲や不安を持ちやすい時期だからだ。 今年は少し、この現象に対して、どうしたものかなと思っている。なぜなら、答えは、外にあるのではなく、自分自身にあるこ…

群像の中で描かれていく私たち。

最初に断っておくと,これから書くことは断片的なメモのようなものであって,私個人の中で一つ一つの作品がどう繋がっているのかを勝手に繋げたものに過ぎない。一方的なまとめ方だと思うので,繊細に一つ一つの作品を大切に思う人,これから小説や映画を見…

レビュー本を書きたい。

GWに個別最適な学びと協働的な学びに関する書籍を収集しました。10冊程度。 一人ひとりの可能性を信じて持ち寄って学ぶとか、一人ひとりの特性や進度を理解して学ぶとか、きれいなことほど取りこぼすものが多くて危うさを感じずにはいられません。可能性とか…

2022年に出版された道徳教育関連の書籍12選

私のここ数年の道徳授業は,インプロ(即興演劇)実践の場として活動型のプログラム開発にチャレンジすることが多かったです。かなり偏った授業づくりをしているため,今年はもう少し全体像を知った上で実践したいのですが,どうだろう。 とにかく,この1年…

縄文文化学習のための読書記録

矢島新(2019)「ゆるカワ日本美術史−ヴィジュアル版」 ゆるカワ日本美術史<ヴィジュアル版> (祥伝社新書) 作者:矢島 新 発売日: 2019/02/01 メディア: 新書 日本美術史を「ゆるカワ」という観点で概説した新書。どこまでを「ゆるさ」「かわいさ」として括る…

須田実編(2005)「読む力・考える力を育てるノート指導」

引き続き,国語科ノート指導に関する書籍を読み続けている。 ここにきて,2000年代のノート指導本に入ってきた。 読む力・考える力を育てるノート指導 小学1・2年 作者:須田 実 メディア: 単行本 この一連の調査の目的は,ノート指導の歴史的文脈を探すこと…

新潟県立歴史博物館編「あ,コレ知ってる! はにわ どぐう かえんどきの昭和平成」

縄文ブーム再来中なので,縄文時代に関する書籍を読み漁っている。 その中で,面白くて一気読みした1冊を紹介したい。 あっ、コレ知ってる!はにわ どぐう かえんどきの昭和平成 作者:新潟県立歴史博物館 発売日: 2019/08/04 メディア: 単行本(ソフトカバ…

岩浅農也・横須賀薫編(1984)『ノート指導と板書』

学習記録のあり方は,授業者の問題意識や信念によって決まる 引き続き,これまでの国語科ノート指導の歴史を追うために,次の本を読んでいる。 子どもが見える授業技術入門 (4) メディア: 単行本 この本は「ノート指導と板書」をテーマとして,「子どもが見…

学習のあり方そのものが問われている。

学習記録研究の中で,国語科のノート指導に関する読書を続けている。 現在読んでいるのは,白井勇著『思考力を伸ばす国語科ノート指導』。 思考力を伸ばす国語科ノート指導 (1970年) 作者:白井 勇 メディア: - 「愛着の持てるノート」というのがキーワード…

コロナ危機の中での対話と挑戦ー11月の振り返り

迫り来るコロナ危機の中で 北海道の新型コロナ感染者が急増する中で,現実的な対応に追われる11月だった。 実際に近隣の小中高等学校で陽性者が発覚して学級・学年閉鎖が起こり,家族が陽性者の場合どうするか,学年閉鎖・学級閉鎖の判断をどの段階でどのよ…

【メモ】石田佐久馬(1964)「発問・板書・ノート」

新型コロナの第3波の対応に追われ,先週から二者懇談,来週は三者懇談と続き,学校現場は常に疑問と不安と決断に迫られている。 1・2年生は希望制で今回は見合わせるという家庭も多いだろうが,3年生は受験を控え気が気じゃない。コロナの心配もありつつ,進…

長田和雄(1955)『国語ノートの指導』

週末,ノート指導の歴史を知りたくて,1950年代のノート指導の本を探して読んだ。 ノート指導本としての特徴は何か? 今回手にした長田和雄(ながたかずお)の『国語ノートの指導』は,興味深いことに,大村はま同様,「とじ込み式ノート」の実践について書…

「書くことの多角化」 —言語活動をどれだけ具体化できるか?

引き続き「第三の書く」を読んでいる。 復刻版 第三の書く 作者:幹勇, 青木 発売日: 2020/10/15 メディア: 単行本 とにかく「視写」のイメージが強いこの本なのだが,改めて読むと,「書くこと」の全体像も示されていることに学びが多い。視写の意味や実際の…

他者に対する想像力やリスペクトを育む伝記の授業

最近少しずつ読み進めている。 今朝は最後の”伝記教材における「第三の書く」”が気になって読む。 復刻版 第三の書く 作者:幹勇, 青木 発売日: 2020/10/15 メディア: 単行本 教材文には,個人の生涯を集約し,伝記の形にしたものがあります。これをどう学習…

長いフレーズで学校再開後の授業を描けるか

「長いフレーズを作るのが指揮者の役目だ」 今週は,小澤征爾と村上春樹が音楽について話をする本を読み続けた。印象に残ったのは,カラヤン先生がシベリウスの五番が好きだったという話から,小澤征爾がカラヤンの持論を次のように話していたことだ。 小澤…

知識との闘い。

田村学さんは「深い学び」について次のように述べる。 「深い学び」とは,「知識・技能」が関連付いて構造化されたり身体化されたりして高度化し,駆動する状態に向かうこと(p.64) 深い学び 作者: 田村学 出版社/メーカー: 東洋館出版社 発売日: 2018/04/2…

その瞬間その場の判断がその時の申し分ない答えなのだ。

肌寒いくらいの北海道の夜に1冊の本を読む。 つみびと (単行本) 作者: 山田詠美 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2019/05/21 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 丁寧に丁寧に,当事者の物語を紡ぐことを考える。そんなモード。 * * * …

自分の目と向き合う時間を持てているか

近くの大学図書館で1冊だけ本を読む。 インクルーシブな国語科授業づくり ―発達障害のある子どもたちとつくるアクティブ・ラーニング― 作者: 原田大介 出版社/メーカー: 明治図書出版 発売日: 2017/01/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「読…

6月に読んだ本

道徳の授業でいじめがテーマだった6月。いじめに関する作品をいくつか読む。 ナイフ (新潮文庫) 作者: 重松清 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2000/06/28 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 162回 この商品を含むブログ (159件) を見る 2000年なんだな。…

詩と出会う体験

振り返りとは,自分の行為を問いを持って考えることなんだなと思う。 学習者を見ているとただ「単元をふりかえろう」と言っても表層的な実感しか言語化されないのだけれど,一つ問いを投げかけるだけでまったく違った質の振り返りが展開される。 詩ってなん…

創作活動と読者への意識

今日の谷川俊太郎研究の1冊。 現代作家アーカイヴ2: 自身の創作活動を語る 作者: 谷川俊太郎,横尾忠則,石牟礼道子,筒井康隆,武田将明,飯田橋文学会 出版社/メーカー: 東京大学出版会 発売日: 2017/12/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 公開イ…

谷川俊太郎×山田馨「ぼくはこうやって詩を書いてきた」

少しずつ春らしくなってきた北海道。今日は雨。 先日,引っ越し先の図書館で借りた谷川俊太郎と編集者山田馨の対談本を読了。 ぼくはこうやって詩を書いてきた 谷川俊太郎、詩と人生を語る 作者: 谷川俊太郎,山田馨,川口恵子 出版社/メーカー: ナナロク社 発…

書評コンテストとブックハンティング

読書指導の中で「書評」を書くっていう言語活動を考えるけれど,実際自分もやってみて実感するのは書評を書くのってむずかしいよなっていうことだ。 光村3年生の教材に竹田青嗣さんの「「批評」のことばをためる」というのがあるが,そもそも批評の語彙が日…

身体を使った学び。

今日読んだ大村はま実践は、長与善郎「地蔵の話」を劇・放送劇・シナリオ・紙芝居・スライドにさせる実践である。 大村はま国語教室〈第1巻〉国語単元学習の生成と深化 (1982年) 作者: 大村浜 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 1982/11 メディア: ? この商…

情報と向き合う。

ぼくは自分が参考にする意見としてはよりスキャンダラスではないほう、より脅かしていないほう、より正義を語らないほう、より失礼でないほう、よりユーモアのある方を選びます。 糸井重里『知ろうとすること』あとがきより

アランフェス

東京オペラシティ。 フィリピンフィル。 3階席1000円。 アランフェス協奏曲。 モバイルを持たなくなってすっかり時代遅れの人間。 移動中に読んだ本。 伏線の女王。 かがみの孤城 作者: 辻村深月 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2017/05/11 メディア: …

分けられないことがある

ちょっと寄り道。授業研究のストーリーを読みたくて以下の本を手に取る。 日本の授業研究〈上巻〉授業研究の歴史と教師教育 作者: 日本教育方法学会 出版社/メーカー: 学文社 発売日: 2009/10/01 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 22回 この商品を含む…

書くことによって認識が深くなるってどういうことか

記録を書くことと考えることはどういう関係にあるのだろうか。授業の記録を書いている時に、学習者は何を考え、どのような気づきを得るのだろうか。書いている時の思考過程が気になって以下の本を手にする。 子どもの文章―書くこと考えること (シリーズ人間…

振り返りの記述を読む観点

今週は文献収集+まとめ作業の1週間だった。 振り返りの記述内容を分析し、その結果からどんなことが言えるか、その枠組みにはどのようなものがあるか、という問いで文献収集をした。 結果としては、国語科の研究よりも、日本語教育や英語教育、数学教育の分…