学習記録には、その日の授業でしたことや、学んだこと、感想が書かれる。
読んでいくと、誰が学習者に学びをもたらしたのかによって記述内容には違いが見える。
知識伝達型の授業では、教師が知識を整理して板書し、解説をする展開で授業が進む。こうした授業では板書を写すことがメインのノートができ、授業中は教師の話を聞き、理解することが必要となる。
このような授業の学習記録は、「~がわかった/わからなかった」という記述が多くなる。子どもたちは素直に教師の話を聞き、あまり疑問を生まず、記録上は「納得する」形で表現される。
一方で、学習者同士がお互いの考えを交流し合う授業では、お互いの話を聞きあい、その中でどんなことがわかるか、自分自身で学びを見つけて記録をすることになる。
このような授業の記録は、前述と同様に理解に関する記述も見られるが、それは活動の参加者としての気づきの記述であり、「~に気付いた」という記述につながっていく。
ただし、後者の記録について、学習者の分析の力が大きく記述に影響することもわかる。気付きのレベルはさまざまで、いかに具体と抽象を往還し、活動の意味を言語化できるかは大きな壁である。
分析する力はどのようにして形成されるのだろう。
学習者の気づきを大切にした授業で、しかもただ気付いたことを羅列するだけではない授業とはどんな授業なのだろう。