週末,ノート指導の歴史を知りたくて,1950年代のノート指導の本を探して読んだ。
ノート指導本としての特徴は何か?
今回手にした長田和雄(ながたかずお)の『国語ノートの指導』は,興味深いことに,大村はま同様,「とじ込み式ノート」の実践について書かれている。同時代の教員ということで,他の文献も調べてみると大村はまと同じ研究雑誌で実践研究を書いている。
他のノート指導に関する実践記録と同様,ノートの価値やノートの体裁,ノートの内容に触れているのはもちろんなのだが,当時の受け持ちの生徒たちにノートに対する意識調査を行っている点と,生徒の具体的な記述が書かれている点が興味深い。
長田実践と今の実践とのつながりはどこにあるか?
長田先生も,この時代の教師として「単元学習」にがっちり取り組まれているのが実践から分かるのだが,継続したノート指導や質を高めるための集団での取り組みなど,現在でもノート指導の工夫として挙げられることが,すでにこの本に紹介されている。
グループ単位でノート指導をしている例については,協同学習の芽が見られるし,ノートを介した個別の面談の実施については,ポートフォリオ評価の実践としても捉えられる。
すでに,これだけの実践群がノート指導に関して見られることに,ただただ脱帽である。
私たちは,まだまだ過去の実践に学ぶことがある。
長田実践を受けて,今,私たちが学べることは?
では,こうした実践例を受けて,今,さらに学習者にとって価値あるノートの活用となるにはどうしたらいいのだろうか。
まず,当時と比べて国語の時間は圧倒的に少ない。索引まで作成していた当時の中学生たちと今の中学生では,これだけ豊かな活動を組むだけの時間も意欲もないのかもしれない。
また,IC T活用の流れもあって,紙の束を見直すことも,今は課題となっている。
私たちは何を選択すべきか。
安易な取捨選択にならないように,過去との対話がもっと必要なのかもしれない。
次へ進むべき道筋を自分たちで見つけるために,実践史を引き続き読み続けようと思う。