「あっちこっち」アンケート
学校が再開した。
初日の授業は,大晦日をどう過ごしたか(最近は紅白を見たか見ていないかの調査が定番)で「あっちこっち」アンケートをとりながら,互いの近況報告をするような緩やかな1時間目を心掛けている。
「あっちこっち」は獲得型教育研究会の定番アクティビティだ。挙手制なので,コロナ禍でも安心して交流ができる。
まだ片足は冬休み
もう何年も前から,初日からフル活動するのはやめようと心に決めている。
生活リズムが変わって,朝起きるだけでも大変な思いをしている生徒がいるかもしれない。
自覚はないけれど,6時間机に座っているだけで疲れているかもしれない。
休み中の人間関係のトラブルで,誰にも会いたくなかった生徒もいるかもしれない。
実際に「学校が始まらないでほしかった」という声も多く聞こえてきた。
残念なことに,授業がつまらない,授業がしんどい生徒は多くいる。
自分の可能性を信じられる学校でありたい
私が思う学校の一番の課題は,学力をつける以前に,授業が楽しいと思って,学校に来たいと思えるかどうかなんだと思っている。授業が楽しいと思うためには,教師の授業技術だけに限らず,生徒同士のつながり作りなど,安心して過ごせるということも含まれる。
もちろん,イヤだなと思うこと,大変だなと思うことから簡単に逃げ出さず,必要なことに対して耐える力も社会で生きていくには大切だと思うけれど,嫌々続ける活動が長く続くことはないだろう。長期的な価値を伝えることは教師の大切な仕事の一つだと思うし,そうすることで見通しを持って行動し続けられる生徒もいる。
しかし,中学生の日常は刹那的だ。好きなものもすぐに変わるし,自分がしたいこともはっきりわからない。経験したこともない未来に対して,確かな思いを抱くことはできない。混沌とする感情の中で,周りからの様々な要求に振り回されながら,それでもタフに頑張り続けられる人は一握りだ。
だから,せめて今,この1時間の授業が「楽しかったー」と言えるような毎日を過ごしてほしいと願う。学ぶことが本当に楽しくて,学校を離れても学びたいと思うことができたら,学校は素晴らしい場所になると思う。
知的好奇心に従って自分の知りたいことを知ることができたり,これまで知らなかった世界を開いたりしながら,自分の可能性を深く信じることができるようになる。
そんな学校や授業づくりがしたいと思う初日だった。