放課後の渡り廊下

教育に関してあれこれ迷い悩みながら書いています。

誰かと共有するうれしさ

映画「メタモルフォーゼの縁側」

metamor-movie.jp

原作漫画から愛読しており,芦田愛菜さんが出演すると知って,公開初日の夜に観に行きました。BLに魅了された2人の女性が,年齢を飛び越えて交流するシーンが印象的な映画です。いわゆる「オタク」文化が,男女問わず,年齢問わず,人として何かに夢中になる瞬間として切り取られている,素敵な映画だなと思います。

個人的には,「誰かとこのうれしさを共有したい」という思いが私には強くあって,授業づくりに対するモチベーションも,ここにあるのだなと気づく映画にもなりました。「共感」「共鳴」「共有」…どんな言葉で表したらいいのかわからないけれど,私は気持ちよく自分の好きなものを誰かに伝えられる場所を,教室に作りたいと願っていたのかもしれません。自分の実践を振り返るような映画体験でした。良作です。

カタルシスと知的好奇心

 6月の主な実践教材は,椎名誠「アイスプラネット」でした。光村図書2年生の定番教材です。6月ということもあり,心身共に低迷期に入る学校現場において,自分でも反省するくらいに教材に対する向き合い方が荒削りの単元になってしまいました。しかし,チャレンジする姿勢は少し持てたと思っています。単元の流れは次の通り。

  1. 個別選択学習(設定読み,描写読み,表現読み,変化読みから選択してA4・1枚程度のレポートを作る)→クラスルーム共有,付箋コメント
  2. スケールライン(登場人物の「生き方」を現実派・理想派と分けて,0〜10の立場に立って考えを語り合う)
  3. ディベート(クラスを半々に分けて,登場人物の「生き方」に対して肯定派・否定派に分かれてそれぞれの立場で2ラウンド討論する。自由起立形式で1人2発言までのルール。発言するためには立ち上がらなかればいけない,勇気のいるゲームだ。よく盛り上がる)→「生き方」というキーワードから,学習者の発言としてどのような語彙が浮かび上がってきたかまとめる
  4. 自分はどう考えるか意見文を書く

単元の途中で葛藤したことは2つ。

  1. 描写,表現の工夫など,一斉指導で教えるべきなのか。「そもそも描写ってなに?」自然と自分で学びに向かう生徒もいるけれど,スタートラインがバラバラ過ぎたかもしれないと思う。この辺りはもっと丁寧に扱ってもいいのかも。
  2. ディベートは勝敗もつくのでとても盛り上がる。「楽しかった」「またやりたい」という感想も多く表出されやすい。一方で,何の力がついたのか?もっと教材に対する丁寧な見方を教えることもできたのでは?とも思う。調整役になる場面と,教える場面とのバランスを見直したい気持ちになる。

 定期テストは,相変わらず「やればできる」「できることで好きになる」を大切にした作問づくりでした。先生のテストは簡単だった,と言う感想が多くて,私の教えることは本当に小さなものだなと気付かされます。「教科書に留まらない学び」と言われるものが理想ですが,そこに近づくには,どういう学びをしていったらいいのだろうかと,雨の中,漠然と考えた6月でした。