昨日はこの本を読んでいました。
フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術 (PHPビジネス新書)
- 作者: 中原淳
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2017/02/18
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (3件) を見る
特に注目して読んだのは、なぜ、これまで以上に人材育成に注目されるようになったのか、です。
この本では3つの制度や環境がバブル崩壊までの日本社会での若手育成を促していたことを指摘しています。
その、職場で成長するための条件は以下の3つです。
- 一つの職についたら、ずっと働き続けられること(長期雇用)。
- 職場では経験豊かな先輩が上の立場であり続けること(年功序列)。
- 社宅があったり、アフター5があったり、職場の人と一緒にいる時間が長いこと(タイトな職場関係)。
教員の職場環境も同じことが当てはまると思います。
1の雇用形態については、一度採用になれば今のところ多くの人が長く勤められることになっていますが、
実際には臨時採用の先生や時間講師の先生が当たり前に担任を持つことが珍しくないですし、採用されたら「ずっと働き続けられる」というのも、この先はわからないと私は思っています。
2と3はもうすでに変わってしまったものだと、思っています。
そんな中で、昨日は東京学芸大学附属高等学校の公開研究会に参加してきました。
先週の演習で「ルーブリック評価」が話題となり、
実践に興味を持ったストレートマスターの子と授業を見ることになりました。
偶然にも「ジグソー法」についての話題も上がっていて、
今回の公開授業はそのことについても触れられていました。
ただ、実際に授業を見ることになって思うのは、
そういった教師側で用意した外側の「何か」がどうか、よりも
その中で学習者が実際にどうだったのか、が検討されるべきなのだ、
ということです。
私が特に気になったのは、話し合いの途中での先生と生徒のやり取りです。
自分たちの班の考えを先生に伝え、生徒は先生の反応を伺っています。
先生からの発言を受け取って、生徒が言ったのは
「なんか、ちがうっぽいね。『他のことも考えろ』ってことか…」でした。
私もその班のメンバーだったら、同じことを思うだろうなと思いました。
「答えは一つじゃない」話し合いだったわけなのですが、
生徒の思考は一つの答えを求める方向に向いているなぁと思いました。
授業の後で、院生の子と話をしながら、
私たち自身も、結論を出してしまいたい思いから
一つの答えを求めてしまう思考があることを確認しました。
一つの価値観で働き続けられる安定した社会ではない、
そういう認識に立っているはずなのに、
それでも実際の場では、正解を求めてさまよっているのですね。
その時々で考えた答えを出すことは大事だし、
それを他者の意見を聞いてもう一度考えなおすことも理想です。
ただ、そういう往復した思考ではなくて、
単線的にこれ、と決めつけてしまうことが浅い思考なのだと思います。
「その思考だけではこれからは難しいよね」
「教師自身の考え方が変わらないことには始まらないなあ」
そんなことを思った1日でした。