放課後の渡り廊下

教育に関してあれこれ迷い悩みながら書いています。

2020-01-01から1年間の記事一覧

学習のあり方そのものが問われている。

学習記録研究の中で,国語科のノート指導に関する読書を続けている。 現在読んでいるのは,白井勇著『思考力を伸ばす国語科ノート指導』。 思考力を伸ばす国語科ノート指導 (1970年) 作者:白井 勇 メディア: - 「愛着の持てるノート」というのがキーワード…

学習指導要領の系統的な文言の違いについて説明できるか?

次年度の新学習指導要領実施に向けて,改めて指導要領を読み直している。 中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編〈平成29年7月〉 発売日: 2018/03/01 メディア: 大型本 きっかけは,校内研修で3観点の評価をどのように行っていくか,という議論の中で…

コロナ危機の中での対話と挑戦ー11月の振り返り

迫り来るコロナ危機の中で 北海道の新型コロナ感染者が急増する中で,現実的な対応に追われる11月だった。 実際に近隣の小中高等学校で陽性者が発覚して学級・学年閉鎖が起こり,家族が陽性者の場合どうするか,学年閉鎖・学級閉鎖の判断をどの段階でどのよ…

【メモ】石田佐久馬(1964)「発問・板書・ノート」

新型コロナの第3波の対応に追われ,先週から二者懇談,来週は三者懇談と続き,学校現場は常に疑問と不安と決断に迫られている。 1・2年生は希望制で今回は見合わせるという家庭も多いだろうが,3年生は受験を控え気が気じゃない。コロナの心配もありつつ,進…

長田和雄(1955)『国語ノートの指導』

週末,ノート指導の歴史を知りたくて,1950年代のノート指導の本を探して読んだ。 ノート指導本としての特徴は何か? 今回手にした長田和雄(ながたかずお)の『国語ノートの指導』は,興味深いことに,大村はま同様,「とじ込み式ノート」の実践について書…

「書くことの多角化」 —言語活動をどれだけ具体化できるか?

引き続き「第三の書く」を読んでいる。 復刻版 第三の書く 作者:幹勇, 青木 発売日: 2020/10/15 メディア: 単行本 とにかく「視写」のイメージが強いこの本なのだが,改めて読むと,「書くこと」の全体像も示されていることに学びが多い。視写の意味や実際の…

『なってみる学び―演劇的手法で変わる授業と学校』刊行記念ウェビナーVol.2 感想

11月15日,日曜日の午後にウェビナーで以下の著書に関するお話を聞きました。 『なってみる学び―演劇的手法で変わる授業と学校』刊行記念ウェビナーVol.2 演劇人と語り尽くす! 授業と学校を変える演劇の力とは! なってみる学び ―演劇的手法で変わる授業と…

他者に対する想像力やリスペクトを育む伝記の授業

最近少しずつ読み進めている。 今朝は最後の”伝記教材における「第三の書く」”が気になって読む。 復刻版 第三の書く 作者:幹勇, 青木 発売日: 2020/10/15 メディア: 単行本 教材文には,個人の生涯を集約し,伝記の形にしたものがあります。これをどう学習…

日常の課題発見能力が生徒会活動の質にも影響を与える。

「建設的な意見」を学ぶ場はあるか? 生徒総会の学級審議で挙がってきた質問・意見・要望を一覧化する仕事をした。 それぞれの内容をまとめながら,子どもたちの課題発見能力の課題を感じる。 学級によっては,無関心,無質問の状況が生まれるクラスがあるの…

「コロナ禍」という言葉が日常を形作る中で—10月の振り返り

本来であれば,文化祭から始まる,10月。 今年は春に行われる予定だった運動会と宿泊学習が10月になり, 学年としての初めて行事が一挙に訪れる1ヶ月だった。 とはいえ,自粛ムード抜け切れぬ学校現場である。 生徒の作文にも定着するくらい「コロナ禍」とい…

全国大学国語教育学会「公開講座2詩の書き方は教えられるか」感想

公開講座Ⅱ「詩の書き方は教えられるか 第1回 詩創作指導の実践とその歴史から」(午後3時〜午後5時40分) 1)詩創作の現場で起こる問題点とは何か? 今日の話題で印象に残ったこと 教師の権力と詩創作の問題 子どもたちはこの詩で満足して作ったけれど,…

学習記録を介した対話と「博士ノート」の実践  —9月の振り返り

授業記録9行に耐えうる授業とは もうすぐ前期の授業が終わる。 前期期末テストが終わり,前期分の授業プリントや授業記録ノートをまとめて冊子型の学習記録を作成した。あとがきには,前期の授業で印象に残っていること,学んだことを書いてもらった。どの記…

気分よく仕事ができますように。ー8月の振り返り

例年の夏休みは25日間。今年は12日間。 8月上旬は午前授業であったことが救いで,毎日暑さと闘いながら過ごす。 夏休みに入ってからは,とことん仕事とは離れて非日常に費やした。 念願の富良野岳登山もでき,演劇も一本見るとこができた。 久しぶりに函館山…

”先行研究”という名の長い道のりを歩け

研究論文を書く経験をすると、先行研究がいかに大切かを思い知らされる。 実践報告はそれぞれの実践が個人の文脈によって開発されたことを知らせることに意味がある。 どのような問題意識があって、どのような環境で、どんな選択をするのか。 しかし、同様の…

「学習記録」には学習者の創造性が込められている 

国語教育雑誌を見ていると、学習者が書き記すものとして「ノート」という用語が多くの教員に定着していることがわかる。『国語教育』最新号の目次にも「「書く」を習慣づける ノート指導術」といったタイトルが見られる。 教育科学 国語教育 2020年 09月号 (…

実践史の中での位置づけ

学校の先生たちが実践としてまとめるものは、なぜその方法を選択するかということと、実際にどうするかという方法の説明が多い。先行研究を整理している論考というのは少ないのだなと思う。 大抵のことは、先人がその重要性を述べているのであり、ある程度の…

授業で何を記録すべきか

生徒の授業アンケートの記述に、よく「板書をもう少ししっかり書いてほしい」という意見をもらう。学習者にとっては記録として授業が残っていないと不安だ。学校はテストもあって、学習したことに○とか✖️とかを付けられるのも事実である。だから、自分として…

8月になって

日常をただじっと生活したいと思っています。 運動会も文化祭も、旅行的行事も従来の形では実施が難しい状況になりました。 学校は再開したものの、いろいろなことがこれでいいのかな?と疑問に思います。 意識は人それぞれに日常生活に反映されていき、 自…

樽前山から支笏湖を望む。

かろうじて咲いていたイワブクロとマルバシモツケ。 今回は東山コース。分岐から頂上へ向かう。 頂上からの支笏湖の眺め。 7合目まで車で上がれるので,そこから50分程度で頂上まで来られる。 支笏湖を眺めながら登ることができるので飽きずに歩き続けること…

動き出す学校 ―6月の振り返り

■登場人物の読み取りー椎名誠「アイスプラネット」 奇をてらわずに,オーソドックスな描写の読みとりをする。 「僕」「母」「父」が「ぐうちゃん」をどのように見ているか, を課題として,全文から一つの描写(会話文,行動描写,心情描写)を担当する。 4…

国語チャレンジ100をつくる ー5月の振り返り

臨時休校中の課題を出すことになり、いくつかの学校ホームページを閲覧しておもしろそうな課題がないか探してみた。 その中で、最もやってみたい気持ちになったのは、風越学園のチャレンジ100だった。 https://kazakoshi.ed.jp/kazenote/dandan/5649/ まずは…

長いフレーズで学校再開後の授業を描けるか

「長いフレーズを作るのが指揮者の役目だ」 今週は,小澤征爾と村上春樹が音楽について話をする本を読み続けた。印象に残ったのは,カラヤン先生がシベリウスの五番が好きだったという話から,小澤征爾がカラヤンの持論を次のように話していたことだ。 小澤…

4月、何を考えていたか

大きく生活も文化も揺れ動いた1か月だったので,5月も半分終わったというのに,まとまった文章にすることもできず。ただその都度思ったことを書き残しておく。 ・自分のことも,相手のことも,まだ知らないうちに判断するのは早いのではないか。 ・学校に集…

「烏」から考える

「枕草子」第一段で「烏」が出てくる。 枕草子 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス) 発売日: 2001/07/25 メディア: 文庫 私は古典における風物がどのように取り扱われているのかがとても気になる。 万葉集にお…

小さな失敗の積み重ねで

年度末に学習記録の冊子をつくるため,年度の始めにプリントを保管するためのクリアファイルを生徒全員に配っている。 授業で扱ったプリントをすべて保存しておくためにしているのだが,現実問題,必ずと言っていいほど,プリントをファイルごとなくしてしま…

どこの図書館も利用できない。

報道の通り,この1か月は感染症拡大を避けるために,公共施設は休館となった。 www.hokkaido-np.co.jp 北海道の緊急事態宣言解除後,徐々に機能を取り戻しつつあって,今週から本の返却やインターネットで予約した本を取りに行くことができるようになった。…

実現不可能でもいいから、やってみたい野望メモ

①合唱コンクール、たくさんの失敗経験を活かして、子供たちが成長して、満足する合唱を創りたい。そのためにできる支援の方法を勉強したい。できたら外部講師の先生に見てもらってフィードバックをもらいたい。 ②面談屋としてのキャラを確立する。面談がいや…

価値の共有と評価方法

「主体的に学ぶ力」の評価のあり方について,10年研でも質問があり,勤務校でも先生たちと話題になる。 教育科学 国語教育 2020年 01月号 (徹底研究!小・中学校国語 3観点の学習評価のポイント) 発売日: 2019/12/12 メディア: 雑誌 現場では「どうやって」…

エンドロールの途中で砂嵐になる。—2月の振り返り

逃げる2月なんて言っている暇もなく,2月は消え去った。 個人的には人生初のインフルエンザを経験し,中旬以降体調的にずうっと不安定だった。 外出することもできず,世の中も落ち着かない日々。 家にこもることも多く,過剰に不安要素を数え上げるような日…

授業づくりに関して手にした本(2020年1月)

これまでに自分も体験しておもしろいと思った授業を、愚直に追試しようと決める。 その一つが看図作文。 看図作文指導要領―「みる」ことを「書く」ことにつなげるレッスン 作者:鹿内 信善 出版社/メーカー: 溪水社 発売日: 2010/06 メディア: 単行本 鹿内先…