これまでに自分も体験しておもしろいと思った授業を、愚直に追試しようと決める。
その一つが看図作文。
鹿内先生の看図作文の模擬授業は何度か体験したことがあって,短時間で創作に没頭できるおもしろい実践だと思っている。
本で紹介されている絵は本当によくつくられていて,自然と「みること」から対話が生まれる。対話をしながら,想像が言語化され,物語が生み出されていく。物語の発見は,そのまま書くことへの意欲となって言語活動へと学習者を誘う。看図作文授業では、作文を書く活動にどんな付加価値を付けるかが課題となる。個人的には、物語の学びと関連した作文の授業が一番面白いと思っている。
実際の授業の中では,運営の仕方に気づきがあった。絵の中に描かれているものを言語化していく際,対話型鑑賞の授業をしている時と同じ展開になっていることに気がついた。
対話型鑑賞の第一段階で見えるものを答えてもらう時と,看図作文で見えるものを答えてもらうとき,私は同じようにして学習者に問いかけている。黒板には,発言者全員の見えるものが書かれ,みんなの見方を持ち寄って,一枚の絵を言語化する作業をするのだ。
その中で浮かび上がってくる問いに焦点化し,絵の見方を変える分岐に立ったり,物語の視点を変える分岐に立ったりする。
この辺の授業の展開は,子どもたちへの信頼もあって,当然いろんな見方が出てくるだろうとか,問いに対する答えにばらつきがあるだろうとか,おもしろい展開になることが期待できた。
何というか,シナリオ通りにただ進めるだけの授業ではなくて,泳ぐように授業ができるようになったんだな……と単純な言葉だが,自分の成長も感じた。
「みること」の研究については,大学院の授業実践演習でも話題になった。広がりを見せつつあることを知り,改めてこの実践の価値を知った。