放課後の渡り廊下

教育に関してあれこれ迷い悩みながら書いています。

獲得型教育研究会夏のセミナー2018.08.07

獲得型研究会の夏のセミナーに参加してきました。

www.kakutokuken.jp

私が参加したのはワークショップ2つ。

チェックインの基調提案とチェックアウトのティー・パーティーはごめんなさいして、真ん中のワークショップだけ集中して参加しました。

 

普通教室での現実的対処

午前のワークショップは東京学芸大学の高尾隆さんのウォーミングアップ・ゲーム。

参加者が聞きたいことを付箋に書いてホワイトボードに貼るところからスタートしました。高尾さんもおっしゃっていたのですが、このスタートはチャレンジだなぁと感じていて、自己開示が苦手な私はまだよくわからない参加者を前に傍観するだけにとどまってしまいました。そもそも今は自分の現場を持っていなくて問題意識が低いということもありました。

だけど、ここで提示された参加者の問題意識が、アクティビティとかゲームを行う際の抵抗感にあることがわかりました。参加者をうまく乗せられないこと、活動が盛り上がりすぎてコントロールがきかなくなることなどなど、子どもと先生という立ち位置だからこそ生まれる問題がたくさん提示されていました。

高尾さんはそうしたネガティブな面に寄り添いながら場の把握をしていて、そして、インプロの本質である「チャレンジする」ことの話をします。常に実験的であることは実際に自分もインプロを体験していて思うことです。

教室でやっていると、「こういうの楽しい」「またやりたい」という声も聞こえる一方で、うまくいかなかったときは「クッソつまんない」という声も聞こえます(苦笑)。ワークショップ内で触れていましたが、固定座席がある普通教室という環境が活動をかなり制限する問題もあります。声のボリュームが大きくなりすぎて、周りの教室に迷惑をかけたこともあります。周りからの批判に耐えられずに、チャレンジすることをあきらめることもありました。そうなると、自分の弱さに嫌悪感が生まれます。活動がうまくいっているかどうかはその場でしかわからないと感じさせられます。

高尾さんのワークショップでは、そうした現実の中で、やれることを探すいくつかの方法を学びました。対処は無数にあるわけですが、高尾さんの説明からは実際の教室や子どもの姿が見えるようでとても説得力を感じました。

そもそも、私たちが求める子どもたちの姿が固定的ではないか?という波紋も受け取って、見方が広がるワークショップだったと思います。

活動がぶつ切りになる問題

午後は弘前大学の宮崎充治さんの教室プレゼンテーションに参加です。

宮崎さんとは2015年の春のセミナーでお会いして以来でしたが、今回は私にとって2015年を追体験するようなプログラムでとても興味深いことがたくさん起こりました。

今回は、青森の問題をテーマに成人式でパフォーマンスをするプログラムでした。最初は宮崎さん演じる知事の演説聞き、そのあと青森のとある家族をグループで演じ、リサーチとディスカッションでプレゼンを考える流れです。

2015年に私が参加したグループでは今の社会の問題としてTPPについて取り上げニュースショーをしたのでした。偶然にも2015年のワークショップと似たようなプログラムを体験したことによって、共通点や違いに目を向けることになりました。

 

最初に気付いたことは、学生や留学生さんが貴重な存在として場にいることでした。教員同士の学びの場では、どうしても経験知が見え隠れして発言を聞いてしまうことがあるのですが、プレゼンを作っている場では経験の差に関係なくフラットで、それぞれの違いから議論されることにより、次々と新たな視点が生まれていくようでした。

次に気付いたことは、ファシリテーターの葛藤場面でした。チャレンジングであることは、途中途中でファシリテーターが迷う場面から伝わってきました。特にグルーピングで途中変更があり、アクティビティとつながらなかったことからは、いかに関係性がその後の活動を支えるのかがよくわかったし、プレゼン発表がステレオタイプを抜け出せなかったことからは、テーマと参加者の当事者意識をどうつなぐかを考えさせられました。

そして一番気になったのは、活動と活動のつなぎ目でした。授業を構成する中でいつもうまくいかないなと感じるのは、学習者にとって自然な学びの流れをつくることです。日国の模擬授業でも似たようなことがあったのですが、教師は目的と順序に目を向けすぎなんじゃないかと思います。この問題意識は今にはじまった話ではないのですが、ゴールを目指してあれをして、これをして…と構成するうちに、一つ一つの活動が掘り下げられないことがあると私は思っています。また、それぞれの活動が学習者にとってつながりが薄いものになることがあります。

十分な試行錯誤の末に見いだした新たな創造性が必要なんだと思うと同時に、そのためにあれこれと活動を入り組ませてしまうことは、わたし自身の課題なんだなと感じました。

 

 

場を見極めながら、いかにシンプルさを追究できるか。

教師にとっての観察力と構成力が今回の学びだったなと思います。