”街ブラ”という発見の方法
NHKの番組「ブラタモリ」に詳しいわけではないが,街をぶらぶら歩くことで街の何かを発見する行為は,TV番組の一つのパッケージになっている。そこでは,ただ単に興味深いお店の紹介や街の人々にスポットを当てるだけではなく,街の持つ歴史的な背景や新たな価値の創造を見出すことがある。
探究の授業で「実地調査」(フィールドワーク)に取り組んでいる。探究活動では,情報検索でさまざまな問いが簡単に明らかになってしまうが,それだけでは気づかないディテールやストーリーが世の中にはあるのだとも気付かされる。
鑑賞体験と創作意欲のプロセス
甲状腺治療の定期通院のために札幌を訪れた。秋の紅葉シーズンで,人出も多い。血液検査とエコー検査を終えて,診察までの空いた時間に西18丁目付近をぶらぶらする。
おしゃれなカフェでランチを済ませ,友人が好きなカヌレをお土産に買う。店が開いているな。それだけ,人の出入りがあるということか。
時間が余っているので,流れに身を任せて美術館にも行ってみる。
特別展2展が行われていて,日本画と魯山人展の人が圧倒的に多い。前に来た時はサンリオ展だったから(そこと比較するのもどうかと思うが),年齢層が極端に高いと感じる。子どもを連れた家族のおでかけ候補にこの企画はならないのだろうな。
みなさんが熱心に器を見ている姿を,見ていた。少しだけ,断絶を感じる。
私が面白かったのは,魯山人が影響を受けた日本画の方だった。12歳の審美眼ってどこでどう育まれるのだろうと思う。一つの作品群に影響を受けて創作意欲に繋がっていく。こうしたエピソードは珍しくはないものだろうが,その一連のプロセスには人としてどんな衝動があるのだろうか。
私にもいろんな衝動がある。それとこれは,同じなのかな。違うのかな。そういえば日本画ってどのように描くのかイメージがつかないな。描いたことないな。体験はいろんな自分に気づかせる。
イメージからの打破
むしろ面白かったのは,もう一つの方の特別展だったかもしれない。これまで多くの人が美しいと思ってきたものを美しいものとして描きたいのか?その枠組に捉われないで新しいものを産み出したいのか?あなたはどっちなの?そんな問いかけの街ブラだった。
【特別展】揺さぶる絵 変貌する日本画のイメージ | 北海道立近代美術館