放課後の渡り廊下

教育に関してあれこれ迷い悩みながら書いています。

書くこととどう向き合うか。

 

 「時間がない」を理由に書くことを諦めつつあったので,この本に励ましてもらおうと再読する。今回は後ろから読んだので,論文を執筆することへの筆者の哲学が読み取ることができ,新しい発見だった。この本,自己啓発的な本だけれど,書くこととどう向き合うかという筆者なりの生き方の本なのだなあとも改めて思う。

僕は,長年スケジュールを守って書いてきた。僕の原動力になっているのは,先々の論文や書籍の刊行予定ではなく,「ちっとも書きたくなかったし,本当はベーグルを買いにいきたかったんだけど,今日もちゃんと書いた」という日々の小さな勝利の方だと思う。(p.154)

  日常生活には書くことよりも,自分を豊かにするもっと大切な時間もあると筆者は言う。思いついたときに書くような「一気書き」の生活をしていると,せっかくの大切な時間を棒に振ってしまうことになる。締め切りに追われて書くことになる。すると,執筆作業は継続したものにはならない。終わった後に書き切ったことへの燃え尽き感が残ってしまって,なかなか次の執筆に向かないこととなる。心理学者である筆者の行動分析学の考え方もベースにあるのだろう。

 大村はまの学習記録実践に触れていると,「筆まめな人になる」という言葉に象徴されるように,毎時間書くことが生活に根付いていく。学習者全員が毎時間切実に書きたいことがあるわけではないだろうけれど,書き続けることを手放さなかった教師としての信念が学習記録という形で残されている。それは,少なくとも一部の国語科教育研究の資料として価値がある。

 では,限られた時間に何をどれだけ書く人になれるのだろうか。

 今日は東京で青年国語研究会である。